オタクサイト「笑ウ門」のオタク管理人ヲユキのオランダ生活的オタク日記です。
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はー、今日もいい天気なのに引きこもり…。
ちゃんとフリーランスになれたらスキャナ欲しい。
続きに「ハロウィン」のマイジェミSSです。5の後日談みたいな。
ちゃんとフリーランスになれたらスキャナ欲しい。
続きに「ハロウィン」のマイジェミSSです。5の後日談みたいな。
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少女に闇が迫ってくる。
怖い怖い怖い怖い怖い
振り払おうともがくのに、逆に体はずんずん重くなる。
そして闇が自分の後を追って来たのではなく、自分の内側から溢れ出している事に気づいた時、胸に広がって行く黒い染みを見下ろして少女は悲鳴を上げた。
ひりひりと裂けそうな喉の痛みが少女を夢から引きはがした。
あれは夢、こちらが現実。
そう頭で分かっているはずなのに、恐怖が拭えない。
びっしょりと汗をかいて体に貼りついたごわごわする布地が気持ち悪かった。
そして気がつく。自分がいつもの木綿のパジャマではなく、ハロウィンのプリンセスの衣装のままだと。次の瞬間、どっと押し寄せるように記憶が蘇って来た。
血だらけの警察署、ねじ曲げられた鉄格子、燃えさかる炎、そして、自分を掬い上げた黒い影とその向こうに浮かんでいた真っ白い顔。死神のような、ブギーマンのマスク。
ここはどこ?
あたりを見回しても硬質な壁の線が見えるだけでほとんどが闇に沈んでいる。
ハドンフィールド小児病院の自分の病室ではない。窓が無いし、レイチェルやティナが送ってくれた沢山のぬいぐるみも花も見当たらない。スプリングが軋む音が響くばかりで、この部屋には暖かさのかけらも無い。
優しい二つの笑顔を思い出し、同時にその二人がもうこの世の人ではない事を思い出して、少女はまた恐慌状態に陥った。
ベッドを這い出し震える脚でドアに縋り付く。だが鉄製のドアには鍵が掛けられていてびくともしなかった。
出して、ここから出して!
半狂乱になりながらドアを叩いた。そうしてる間、ふとある事に気がついてすっと体が冷たくなった。自分の声が一切出ていない。必死に振り絞っていたのに、たった半日前にようやく取り戻していた声が出なくなっていた。
突然目眩を覚えて崩れ落ち、床にしゃがみ込む。
息が苦しい、体の内側が捩れるように暴れてる。
小さな両手で腹をかばうように抱きしめてうずくまった。
その頭上で、鍵が開く音がした。
ぐるぐる回る意識の中、すぐ側に重い足音と低い呼吸音を聴いて少女は身を強張らせた。
震えながら顔をもたげると、自分を見下ろすぼんやりとした白い顔を見つけ、のどの奥を震わせた。顔の中心にぽっかり空いた二つの穴から夢で自分が逃げていた闇が覗いている。
喘ぎながら、手を前に突き出し交差させる。
ブギーマンを目の前に、膝で床を擦り必死で後ずさる。
来ないで、来ないで、来ないで!
しかし彼は向かって来た。ゆっくりと、重い足音を響かせ、仮面の奥から少女を見据えたまま。その右手に握った刃物の長さは彼の肘の半分ほどもある。それが振り上げられるのを凍り付いた眼差しで見続けていたが、壁に背中を押し付けるまで追いつめられた時、ついに少女はぎゅっと目を瞑った。
ティナを突き刺した彼のナイフが脳裏に浮かんだ。
肩から血を流して絶命していたレイチェルの体も。
天井からぶら下げられたマックスのまだ艶が残っていた毛並みも。
ママ!
写真より柔らかな母の笑顔が最後に彼女の胸を締め付けた。
その時、金属が床にぶつかる音を聞いた。
思わず目を開ける。床に捨てられた洋包丁を見つけるより前に、すぐ目と鼻の先にブギーマンの白い顔を見て少女が再び恐怖に目を瞑ると、次の瞬間物凄い力が彼女の小さな体を包み込んだ。
ごわごわして、大きくて、広い胸に頬を押し付けられ、太い腕が背中に回される。
声にならない叫び声を上げていたその体の緊張は頂点に達した。
抗う彼女を宥めるように大きなゴツゴツとした手が少女の背中を擦る。
はっはっと荒い息を繰り返す少女の頭をもう一方の手が包み込んで、少女を潰さんばかりに抱きしめていた力を緩めた。
小さな額を広い男の胸に預けて少女は呼吸を繰り返す。段々と楽になって来た。
恐怖が困惑にすり替わり、更に過呼吸の状態を抜けた安堵が体を包む。
怯えていた少女を縛っていた力が抜けた。
闇は冷たくて凍えそうだった。
ずっと怖くて淋しかった。
でもこの腕の中は不思議と暖かだった。
この男は怪物のはずなのに、背中に触れてる手も、髪を梳く指も、その胸から伝わる鼓動も、間違いなく人間の物だった。
ああそうだ、この人はママのお兄さんなんだわ。
労るように背中を柔かく擦り続ける男の手を感じながら少女は突然自分を引き込もうとする眠気に抗うのを辞め、そのまま意識を手放した。
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続けば良いと思うよ。
少女に闇が迫ってくる。
怖い怖い怖い怖い怖い
振り払おうともがくのに、逆に体はずんずん重くなる。
そして闇が自分の後を追って来たのではなく、自分の内側から溢れ出している事に気づいた時、胸に広がって行く黒い染みを見下ろして少女は悲鳴を上げた。
ひりひりと裂けそうな喉の痛みが少女を夢から引きはがした。
あれは夢、こちらが現実。
そう頭で分かっているはずなのに、恐怖が拭えない。
びっしょりと汗をかいて体に貼りついたごわごわする布地が気持ち悪かった。
そして気がつく。自分がいつもの木綿のパジャマではなく、ハロウィンのプリンセスの衣装のままだと。次の瞬間、どっと押し寄せるように記憶が蘇って来た。
血だらけの警察署、ねじ曲げられた鉄格子、燃えさかる炎、そして、自分を掬い上げた黒い影とその向こうに浮かんでいた真っ白い顔。死神のような、ブギーマンのマスク。
ここはどこ?
あたりを見回しても硬質な壁の線が見えるだけでほとんどが闇に沈んでいる。
ハドンフィールド小児病院の自分の病室ではない。窓が無いし、レイチェルやティナが送ってくれた沢山のぬいぐるみも花も見当たらない。スプリングが軋む音が響くばかりで、この部屋には暖かさのかけらも無い。
優しい二つの笑顔を思い出し、同時にその二人がもうこの世の人ではない事を思い出して、少女はまた恐慌状態に陥った。
ベッドを這い出し震える脚でドアに縋り付く。だが鉄製のドアには鍵が掛けられていてびくともしなかった。
出して、ここから出して!
半狂乱になりながらドアを叩いた。そうしてる間、ふとある事に気がついてすっと体が冷たくなった。自分の声が一切出ていない。必死に振り絞っていたのに、たった半日前にようやく取り戻していた声が出なくなっていた。
突然目眩を覚えて崩れ落ち、床にしゃがみ込む。
息が苦しい、体の内側が捩れるように暴れてる。
小さな両手で腹をかばうように抱きしめてうずくまった。
その頭上で、鍵が開く音がした。
ぐるぐる回る意識の中、すぐ側に重い足音と低い呼吸音を聴いて少女は身を強張らせた。
震えながら顔をもたげると、自分を見下ろすぼんやりとした白い顔を見つけ、のどの奥を震わせた。顔の中心にぽっかり空いた二つの穴から夢で自分が逃げていた闇が覗いている。
喘ぎながら、手を前に突き出し交差させる。
ブギーマンを目の前に、膝で床を擦り必死で後ずさる。
来ないで、来ないで、来ないで!
しかし彼は向かって来た。ゆっくりと、重い足音を響かせ、仮面の奥から少女を見据えたまま。その右手に握った刃物の長さは彼の肘の半分ほどもある。それが振り上げられるのを凍り付いた眼差しで見続けていたが、壁に背中を押し付けるまで追いつめられた時、ついに少女はぎゅっと目を瞑った。
ティナを突き刺した彼のナイフが脳裏に浮かんだ。
肩から血を流して絶命していたレイチェルの体も。
天井からぶら下げられたマックスのまだ艶が残っていた毛並みも。
ママ!
写真より柔らかな母の笑顔が最後に彼女の胸を締め付けた。
その時、金属が床にぶつかる音を聞いた。
思わず目を開ける。床に捨てられた洋包丁を見つけるより前に、すぐ目と鼻の先にブギーマンの白い顔を見て少女が再び恐怖に目を瞑ると、次の瞬間物凄い力が彼女の小さな体を包み込んだ。
ごわごわして、大きくて、広い胸に頬を押し付けられ、太い腕が背中に回される。
声にならない叫び声を上げていたその体の緊張は頂点に達した。
抗う彼女を宥めるように大きなゴツゴツとした手が少女の背中を擦る。
はっはっと荒い息を繰り返す少女の頭をもう一方の手が包み込んで、少女を潰さんばかりに抱きしめていた力を緩めた。
小さな額を広い男の胸に預けて少女は呼吸を繰り返す。段々と楽になって来た。
恐怖が困惑にすり替わり、更に過呼吸の状態を抜けた安堵が体を包む。
怯えていた少女を縛っていた力が抜けた。
闇は冷たくて凍えそうだった。
ずっと怖くて淋しかった。
でもこの腕の中は不思議と暖かだった。
この男は怪物のはずなのに、背中に触れてる手も、髪を梳く指も、その胸から伝わる鼓動も、間違いなく人間の物だった。
ああそうだ、この人はママのお兄さんなんだわ。
労るように背中を柔かく擦り続ける男の手を感じながら少女は突然自分を引き込もうとする眠気に抗うのを辞め、そのまま意識を手放した。
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続けば良いと思うよ。
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